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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年11月3日

ステップのたびに膝が鳴る初心者へQ&A|膝の音(クレピタス)と関節の研究

階段を下りる途中、膝からポキッと音がして、足元に目が向きました。ボクササイズのステップでも同じ音がすると、痛みはなくても次の踏み込みをためらいます。膝の音だけで関節が傷んでいるとは判断できず、痛みや腫れ、動かしにくさを一緒に見る必要があります。 音が鳴ることと、その後に病気の症状が出ること、手術が必要になることは、それぞれ別の研究結果です。音を消すことを練習の目標にする前に、研究が何を測ったのかが判断の手掛かりになります。

この記事の要点
  • 膝の音は痛みのない人にもあり、音だけで関節の状態は決まりません。
  • 中高年では音の頻度と後の関節症の発症が関連しましたが、手術を予測しなかった研究もあります。
  • ステップの後は音の頻度と痛みを別々に記録し、腫れや引っかかりが加わったら練習をやめます。

ステップのたびに膝が鳴る初心者へQ&A|膝の音(クレピタス)と関節の研究

階段を下りる途中、膝からポキッと音がして、足元に目が向きました。ボクササイズのステップでも同じ音がすると、痛みはなくても次の踏み込みをためらいます。膝の音だけで関節が傷んでいるとは判断できず、痛みや腫れ、動かしにくさを一緒に見る必要があります。 音が鳴ることと、その後に病気の症状が出ること、手術が必要になることは、それぞれ別の研究結果です。音を消すことを練習の目標にする前に、研究が何を測ったのかが判断の手掛かりになります。

要点

  • 膝の音は痛みのない人にもあり、音だけで関節の状態は決まりません。
  • 中高年では音の頻度と後の関節症の発症が関連しましたが、手術を予測しなかった研究もあります。
  • ステップの後は音の頻度と痛みを別々に記録し、腫れや引っかかりが加わったら練習をやめます。

膝がポキポキ鳴るのは、関節がすり減る合図ですか

クレピタスとは、関節を動かしたときの音やきしむ感じを指す言葉です。病名そのものではなく、ポキポキ、ゴリゴリと感じる状態を表します。Couch(2025)の系統的レビューとメタ分析、つまり研究を一定の方法で集めて結果をまとめ直した分析では、膝の音は一般の人の41%、痛みのない人の36%にありました。変形性膝関節症という、軟骨や骨などの関節の変化を伴う病気がある人では81%で、対象によって割合が違いました。

同じCouch(2025)の分析では、膝の音はX線や、関節内部を詳しく写すMRIで見られる変化と関連していました。ただし証拠の確かさは「低い〜非常に低い」とされ、ほとんどが同じ時点で音と画像を調べた研究です。音が先に生じて関節を傷めたのか、関節の変化に伴って音が出たのかを、この比較だけでは決められません。痛みのない人にも音があったという結果と、画像の変化との関連の両方が報告されています。

よく鳴る膝は、将来手術になるのですか

Lo(2018)は、症状のある変形性膝関節症がない3495人、平均年齢61.1歳の人を追った観察研究です。運動を割り当てるのではなく経過を調べ、音が「いつも」の人は「全くない」人に比べ、症状のある関節症が発症するオッズ比、つまり発症の見込みを比べる指標が3.0でした。ただし発症例の75%超は、もともとX線で関節症の変化があり、頻繁な膝の痛みはない膝から生じていました。すでに画像に変化がある膝で、音の頻度が後の症状を知らせる手掛かりになったという結果です。

一方、Pazzinatto(2019)は、すでに変形性膝関節症がある中高年の人を追い、音の有無は36か月以内の人工膝関節に置き換える手術を予測しなかったと報告しました。音のある群では膝を伸ばす力がわずかに落ちましたが、長期の体の動きや生活の質への影響は見られませんでした。Lo(2018)が調べたのは症状の出現であり、この研究が調べたのは手術や機能の変化です。音と発症に関係があるという結果から、音があれば手術へ進むという結論にはなりません。

音があると筋力や動く自信も落ちますか

de Oliveira Silva(2018)は、膝のお皿の周囲や裏側に痛みがある女性65人と、痛みのない女性51人を比較しました。痛みのある女性では、音の有無にかかわらず、動くことへの恐怖、こわばり、筋力や身体機能の低下が見られました。音がするから動く自信も力も落ちる、という単純な関係ではなく、痛みを伴うかどうかが大切でした。

同じde Oliveira Silva(2018)の研究では、痛みのない女性でも、音のある人は片脚で段差を下りる動作や跳躍の成績が低くなっていました。そのため「痛くなければ動きにも影響がない」と言い切るのも早計です。この研究は同じ時点での比較で、音を消す練習によって筋力や動作が改善するかを試したものではありません。

ステップの後に何を記録すればよいですか

自分の記録の期間を2週間と決め、ステップの練習後に音と痛みを別々の欄へ書きます。音の頻度にはLo(2018)が用いた5段階の「全くない・まれ・時々・よく・いつも」を使い、その日の練習での様子を選びます。痛みは自分の記録用に、痛みなしを0、想像する最も強い痛みを10とした0〜10で書き、左右と痛む場所も添えます。音に痛み・腫れ・引っかかって動かなくなる感じが加わったら、記録期間の途中でも練習をやめます。音と痛みを別の欄にするのは、de Oliveira Silva(2018)で恐怖や筋力の低下が音の有無よりも痛みの有無に結びついていたためです。

よくある質問

音が大きいほど悪い状態ですか

Pazzinatto(2019)の追跡は音の大きさや種類を測っておらず、大きな音ほど手術につながるとする結果ではありません。Lo(2018)が調べたのも頻度なので、音量と鳴る回数は別のものとして扱います。

痛みがなければ、音は記録しなくてよいですか

Lo(2018)では、画像に変化があっても頻繁な痛みのない膝から、その後の発症例の多くが出ていました。痛みの有無だけで欄を埋めず、音の頻度も並べれば、音だけの日と症状を伴う日の違いを残せます。

鳴らなくなったら、膝がよくなったと考えますか

Couch(2025)の分析は、音の有無と画像の変化との関係を集計したもので、音の消失を回復の判定に使う試験ではありません。音の減少だけで判断せず、痛みや動かしにくさの経過も同じ記録に残します。

この記事の限界

対象は中高年の追跡や女性の一時点の比較が中心で、痛みのない若い初心者がステップや打撃の練習を続けた経過は測られていません。音に痛み・腫れ・膝が伸びきらない状態・ガクッと抜ける感じが加わったら、練習をやめて整形外科を受診します。いつから、どの動作で出たかを、音と痛みの記録とともに伝えます。中高年の膝を追って関節症の発症や手術を調べる研究と、初心者がボクササイズの踏み込みを続けられるかを確かめることでは、対象の年齢も目的も異なります。

参考文献

  1. Couch JL. Noisy knees - knee crepitus prevalence and association with structural pathology: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2025;59(2):126-132.
  2. Lo GH. Subjective Crepitus as a Risk Factor for Incident Symptomatic Knee Osteoarthritis: Data From the Osteoarthritis Initiative. Arthritis Care Res (Hoboken). 2018;70(1):53-60.
  3. de Oliveira Silva D. Implications of knee crepitus to the overall clinical presentation of women with and without patellofemoral pain. Phys Ther Sport. 2018;33:89-95.
  4. Pazzinatto MF. Knee crepitus is not associated with the occurrence of total knee replacement in knee osteoarthritis - a longitudinal study with data from the Osteoarthritis Initiative. Braz J Phys Ther. 2019;23(4):329-336.

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よくある質問

音が大きいほど悪い状態ですか

Pazzinatto(2019)の追跡は音の大きさや種類を測っておらず、大きな音ほど手術につながるとする結果ではありません。Lo(2018)が調べたのも頻度なので、音量と鳴る回数は別のものとして扱います。

痛みがなければ、音は記録しなくてよいですか

Lo(2018)では、画像に変化があっても頻繁な痛みのない膝から、その後の発症例の多くが出ていました。痛みの有無だけで欄を埋めず、音の頻度も並べれば、音だけの日と症状を伴う日の違いを残せます。

鳴らなくなったら、膝がよくなったと考えますか

Couch(2025)の分析は、音の有無と画像の変化との関係を集計したもので、音の消失を回復の判定に使う試験ではありません。音の減少だけで判断せず、痛みや動かしにくさの経過も同じ記録に残します。