- 指を引いたときの音と同時に、関節内に空洞が生じた画像があります。
- 習慣と関節症の関連は見られず、握力や腫れの結果は研究間で一致していません。
- 鳴らした直後の動く範囲の変化は、パンチの強さやけがの予防とは別の評価です。
パンチの前に指を鳴らすと関節に悪いかQ&A|指の関節の音の研究
ミットを持つ相手の前で、グローブを着ける前に指をポキポキ鳴らす癖が気になります。打つ前のこの習慣は、関節を傷める原因になるのでしょうか。指を鳴らす習慣と手の関節症の関連は見つかっていませんが、パンチの前に鳴らす利点も実証されていません。音の仕組みを撮影した研究と、手の腫れや握力を調べた研究では、見ているものが異なります。ボクササイズの準備として必要な動作なのかを考えるには、音そのものと手の働きへの影響を順に確かめる必要があります。
要点
- 指を引いたときの音と同時に、関節内に空洞が生じた画像があります。
- 習慣と関節症の関連は見られず、握力や腫れの結果は研究間で一致していません。
- 鳴らした直後の動く範囲の変化は、パンチの強さやけがの予防とは別の評価です。
指が鳴る音の正体は何か
「骨がこすれる音」「中の泡がはじける音」と聞くと、音のたびに何かが壊れるように感じるかもしれません。Kawchuk(2015)は、指の付け根の10関節を引っ張りながら、磁気を使って体内を撮影する検査であるMRIで連続撮影しました。関節が鳴る瞬間に、関節の面が離れて中に空洞が生じ、音が鳴った後もその空洞が残っていました。この観察では、すでにある泡がつぶれることよりも、空洞が新しくできることと音が対応していました。
この実験が捉えたのは、指を引っ張って鳴らす瞬間の画像です。痛みの強さや、その後に手を使う運動をしたときの成績を測る実験ではありません。Kawchuk(2015)の画像から音の発生過程を説明することはできますが、健康への影響を調べた結果ではないため、鳴る音だけで関節の傷みを判定する材料にはなりません。
指を鳴らすと関節症になるのか
変形性関節症とは、関節の軟骨や骨などに変化が生じる病気です。Deweber(2011)は、手のX線を撮った中高年から高齢の人に鳴らす習慣を尋ね、関節症のある人とない人を比べる症例対照研究を行いました。回答した215人では、鳴らす人の関節症の割合は18.1%、鳴らさない人では21.5%で、統計的にはっきりした差はありませんでした。鳴らしてきた年数や、回数を積み重ねた量との関連も見られませんでした。
ただし、関節症があるかどうかと、手が腫れるか、力が出るかは異なる問題です。Castellanos(1990)は45歳以上の300人を調べ、鳴らす習慣のある74人は、ない226人より腫れが多く、握力が弱いと報告しました。著者は習慣が手の働きを損なうと結論しましたが、鳴らす人には肉体労働、喫煙、飲酒なども多く見られました。習慣をくじ引きで割り付けた比較ではないため、握力の差を鳴らす行為だけの影響と決めることはできません。
| 研究 | 比べた相手・対象 | 調べたもの | 結果 |
|---|---|---|---|
| Deweber(2011) | 手のX線を撮った人の、鳴らす習慣の有無 | 手の関節症 | 習慣との関連なし |
| Castellanos(1990) | 外来患者の、鳴らす習慣の有無 | 腫れ・握力 | 習慣のある人で腫れが多く、握力が弱い |
| Boutin(2017) | 症状のない成人の、鳴らす習慣の有無 | 手の使いにくさ・ゆるさ・握力 | 差なし、腫れもなし |
打つ前に鳴らすと動きやすくなるのか
Boutin(2017)は、症状のない成人40人の400関節を診察と超音波で調べました。このうち30人には指を鳴らす習慣があり、診察する整形外科医には習慣の有無を知らせていませんでした。鳴らす人と鳴らさない人で、手の使いにくさの点数、関節のゆるさ、握力に差はなく、腫れも見られませんでした。一方で、音が鳴った関節は、その直後に動く範囲が広がりました。
ここでいう動く範囲は、指の曲げ伸ばしの範囲であり、打つ力の測定ではありません。動く範囲が広がったという結果を、「強いパンチを打てる」「拳のけがを防げる」という効果に置き換えることはできません。Boutin(2017)が観察した変化は、症状のない人が指を鳴らした直後の曲げ伸ばしです。
また、腫れと握力については、Castellanos(1990)とBoutin(2017)で結果が異なります。前者は外来患者、後者は症状のない成人であり、参加者の手の状態がそろっていません。後者では診察する人に習慣を伏せる工夫もあり、結果を比べる際には対象と測り方を一緒に見る必要があります。少なくともBoutin(2017)の比較では、鳴らす人の握力が高いという利点も出ていません。
よくある質問
音がしたら軟骨が削れたということですか
Kawchuk(2015)で音とともに撮影されたのは、関節内に空洞が生じる現象です。指を引いて鳴る音を、軟骨が削れた証拠とみなす結果ではありません。
鳴らした方が握力は強くなりますか
Boutin(2017)では、鳴らす習慣のある人とない人の握力に差はありませんでした。Castellanos(1990)ではむしろ習慣のある人で弱く、握力を上げる方法として勧める結果は出ていません。
鳴らさないと練習の準備が足りませんか
鳴らすことをパンチ前の準備に組み込む利点を調べた試験は、取り上げた研究に含まれていません。Boutin(2017)の直後の曲げ伸ばしの変化は、打撃の準備が整ったかどうかを測ったものではありません。
この記事の限界
指の関節の研究は習慣の記憶に頼る比較や少人数の画像撮影で、パンチによるけがは調べていません。鳴らした後の痛み・腫れ・引っかかりが続く場合は整形外科で、どの指にいつから症状が出るかを伝えます。腫れや握力の研究も、参加者の症状の有無が異なります。指を鳴らす習慣と打撃中のけがの関係を調べるには、練習量や以前のけがも記録し、習慣がある人とない人をその後も追う試験が要ります。
参考文献
- Deweber ほか. Knuckle cracking and hand osteoarthritis. J Am Board Fam Med. 2011;24(2):169-174.
- Castellanos ほか. Effect of habitual knuckle cracking on hand function. Ann Rheum Dis. 1990;49(5):308-309.
- Kawchuk ほか. Real-time visualization of joint cavitation. PLoS One. 2015;10(4):e0119470.
- Boutin ほか. “Knuckle Cracking”: Can Blinded Observers Detect Changes with Physical Examination and Sonography?. Clin Orthop Relat Res. 2017;475(4):1265-1271.
汗が落ちる溶岩の床の上で、最初のジャブを構えてみる
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よくある質問
音がしたら軟骨が削れたということですか
Kawchuk(2015)で音とともに撮影されたのは、関節内に空洞が生じる現象です。指を引いて鳴る音を、軟骨が削れた証拠とみなす結果ではありません。
鳴らした方が握力は強くなりますか
Boutin(2017)では、鳴らす習慣のある人とない人の握力に差はありませんでした。Castellanos(1990)ではむしろ習慣のある人で弱く、握力を上げる方法として勧める結果は出ていません。
鳴らさないと練習の準備が足りませんか
鳴らすことをパンチ前の準備に組み込む利点を調べた試験は、取り上げた研究に含まれていません。Boutin(2017)の直後の曲げ伸ばしの変化は、打撃の準備が整ったかどうかを測ったものではありません。