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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年11月3日

かがんでパンチをよけるダッキングと膝の負担|しゃがむ動作の繰り返しの研究

公園でシャドーボクシングの動きをなぞり、頭を沈めて立ち上がるうちに、膝の前の重さが気になってきました。パンチをよけるためのかがみ込みを繰り返すと、膝を傷めるのではないかという疑問が浮かびます。健康な女性25人のスクワットでは膝の位置によって負担が変わりましたが、ダッキングの繰り返しが膝に悪いかは、その数字だけでは決まりません。これはKernozek(2018)が、膝を爪先より前に出す場合と出さない場合を比べた結果です。

この記事の要点
  • ダッキングは膝と股関節を曲げるよけ方で、膝だけを折り曲げる動きとして捉えないことが大切です。
  • スクワットで膝にかかる力は深さと姿勢で変わり、深く曲げるほど危険という説明には研究間の食い違いがあります。
  • 膝を爪先より前に出さないよう強く制限すると、股関節や腰へ負担が移る可能性があります。
  • 仕事で長くしゃがむ人の関節症の数字は、短いダッキング練習の発症率ではありません。
  • 練習量と深さをそろえて膝の反応を見比べ、腫れや引っかかりがある日は打つ練習も中止します。

かがんでパンチをよけるダッキングと膝の負担|しゃがむ動作の繰り返しの研究

公園でシャドーボクシングの動きをなぞり、頭を沈めて立ち上がるうちに、膝の前の重さが気になってきました。パンチをよけるためのかがみ込みを繰り返すと、膝を傷めるのではないかという疑問が浮かびます。健康な女性25人のスクワットでは膝の位置によって負担が変わりましたが、ダッキングの繰り返しが膝に悪いかは、その数字だけでは決まりません。これはKernozek(2018)が、膝を爪先より前に出す場合と出さない場合を比べた結果です。

ダッキングは、膝と股関節を曲げて頭を沈め、パンチの下をくぐる動きです。ボクササイズでは、相手の打撃を受けずに、シャドーやミットの練習にかがむ動きを組み込めます。膝の研究を読むときに大切なのは、曲げる深さ、膝を前へ動かす量、繰り返した時間がそれぞれ違う条件だという点です。スクワットの研究には深いしゃがみを警戒する結論と、筋力練習としては害が目立たないという結論があり、仕事の調査では長年の累積時間が問題になっています。

要点

  • ダッキングは膝と股関節を曲げるよけ方で、膝だけを折り曲げる動きとして捉えないことが大切です。
  • スクワットで膝にかかる力は深さと姿勢で変わり、深く曲げるほど危険という説明には研究間の食い違いがあります。
  • 膝を爪先より前に出さないよう強く制限すると、股関節や腰へ負担が移る可能性があります。
  • 仕事で長くしゃがむ人の関節症の数字は、短いダッキング練習の発症率ではありません。
  • 練習量と深さをそろえて膝の反応を見比べ、腫れや引っかかりがある日は打つ練習も中止します。

ダッキング:ボクシングで頭を沈める動きと膝の働き

パンチを打たずによける動きでも、体を支える脚には力がかかります。ダッキングに近いしゃがみ動作として研究されてきたのが、立った姿勢から膝と股関節を曲げるスクワットです。Escamilla(2001)の総説は、膝の中の骨どうしを押し付ける圧迫力と、骨を前後にずらそうとするせん断力を整理しました。膝の負担という言葉の中には、押される力とずれる力が含まれ、支える組織も異なります。

前十字靭帯は、膝の中で脛の骨が前へずれるのを抑える靭帯です。Escamilla(2001)は、スクワットで膝を0〜60度曲げる範囲では、この靭帯が主に受け止める前向きのせん断力は小さいとしました。一方、膝を曲げるにつれて、膝の皿の裏や太ももと脛の間にかかる圧迫力は増えると整理しています。前向きの力が小さいことと、膝のどの部分にも力がかからないことは同じではなく、評価する場所によって負担の説明が変わります。

同じ総説でEscamilla(2001)が膝のリハビリを行う多くの患者に適するとしたのは、膝を0〜50度曲げる範囲のスクワットでした。これは関節にかかる力が小さい範囲を選ぶという提案で、かがむ速さやよける技術の優劣を測った結果ではありません。太ももが床と平行になるまでしゃがむ動きと、そこまで下がらない動きでは、扱う角度の範囲が違います。健康な膝を持つ選手に対しては、同じ著者は太ももが床と平行になるスクワットを、さらに深いスクワットより勧めています。

深く曲げるほど膝に悪い、という結論はそろっていない

Escamilla(2001)が深いしゃがみで挙げた心配は、半月板や靭帯への負担でした。半月板は、太ももの骨と脛の骨の間で力を分散する組織です。対してHartmann(2013)は、深いスクワットが膝の組織のけがを増やすという見方に異論を示しました。似た動作を取り上げていても、深い位置で体のどこが接触するかを計算に入れると、説明が変わります。

Hartmann(2013)は、164本を超える論文を検討し、計算や遺体の膝を使った測定では、膝の皿の裏の圧迫力と応力が最も大きい位置は90度だと述べました。応力とは、組織の一定の面積にどれだけ力がかかるかを表す量です。さらに深く曲げると太ももとふくらはぎが触れ、関節の接触面も広がるため、膝の皿の裏の応力は下がると論じています。ただし同じ総説は、50度を超える深いしゃがみで関節にかかる力について、現実に即した推定が不足しているとも指摘しています。

この食い違いは、片方の研究だけを選んで「浅ければ安全」「深ければ危険」と言い換えると消えてしまいます。Escamilla(2001)が整理した曲げ角度に伴う力の増加と、Hartmann(2013)が論じた脚どうしの接触による分散は、計算に入れた条件が違います。膝の皿の裏の応力が下がる説明も、膝全体の組織を同じ条件で測った結果とは区別する必要があります。後者の総説で深い位置の力を分散させる要素は、太ももとふくらはぎの接触と、関節の接触面の広がりです。

膝を前に出さない工夫は、股関節の負担も変える

「膝を爪先より前に出さない」という説明は、膝の前が気になる人には覚えやすい目安です。Kernozek(2018)は健康な若い女性25人で、膝を爪先より後ろに保つしゃがみ方と、前に出すしゃがみ方を比べました。前に出す場合の方が、膝蓋大腿関節という膝の皿と太ももの骨の間の関節で、応力や反力が大きくなりました。太ももの前の筋肉が出す力も大きく、同じ参加者の動作でも膝の位置で推定される負担が変わりました。

その一方で、Fry(2003)は筋力練習をしている男性がバーベルを担ぐスクワットで、膝の前への動きを板で止める条件を調べています。トルクという関節を回そうとする力の作用は、制限なしから制限ありになると、膝で150.1から117.3ニュートンメートルへ下がりました。しかし股関節では28.2から302.7ニュートンメートルへ上がり、上体の前傾も増えました。膝だけを見れば負担が小さくなっていても、体全体では別の場所へ力の受け持ちが移ったという結果です。

比較する関節をそろえると、Kernozek(2018)とFry(2003)の結果は互いを否定するものではありません。前者は膝の皿の裏の応力を筋肉や骨の働きを再現するモデルで推定し、後者は膝と股関節のトルクを比べています。膝を前に出す量だけに注目すると、上体や股関節の変化を見落とします。次の表では、膝の応力、股関節のトルク、深い位置の圧迫という測定対象を並べています。

しゃがむ膝への見方 膝と股関節で異なる結果 動作条件と参加者
膝を前に出すと膝の負担が増す 膝の皿の裏の応力が高かった(Kernozek、2018) 爪先より前と後ろに膝を置くスクワット、健康な女性
膝を前に出さなければ体への負担も減る 股関節のトルクは大きくなった(Fry、2003) 膝の前進を板で制限する場合としない場合、筋力練習をする男性
しゃがみが深いほど膝の皿の裏の力は増え続ける 深い位置では脚の接触で力が分散すると整理した(Hartmann、2013) しゃがみの深さを扱う計算・標本測定などの総説

長時間しゃがむ仕事の数字が表すもの

繰り返しの影響を調べた研究には、動作の瞬間を測る実験とは別に、仕事と膝の病気の関係を調べるものがあります。Coggon(2000)は、変形性膝関節症で手術を待つ518人と、同じ地域に住む性別と年齢をそろえた同数の人を比べました。変形性膝関節症は、関節の軟骨や骨などに変化が生じる病気です。病気のある人と比較対象の過去を調べる症例対照研究で、仕事で長くひざまずく・しゃがむ人のオッズ比は1.9、95%信頼区間は1.3〜2.8でした。

オッズ比は、病気がある見込みを病気がない見込みと対比した指標どうしの比で、発症した人の割合そのものではありません。95%信頼区間は推定の不確かさを表す範囲です。Coggon(2000)では、BMIという身長と体重から求める体格の指標が30以上で、仕事で長くひざまずく・しゃがむ人のオッズ比は14.7、95%信頼区間は7.2〜30.2でした。この比較相手はBMIが25未満で、その姿勢の仕事をしていない人であり、体格と仕事の条件がともに違います。

Verbeek(2017)は15研究を集め、時間の積み重ねと関節症の関係をメタ分析という方法でまとめて計算しました。仕事でひざまずく累積時間が5,000時間増えるごとのオッズ比は1.26、95%信頼区間は1.17〜1.35で、著者は証拠の確かさを中程度と評価しています。元の研究には過去の仕事を思い出して答える調査が含まれ、姿勢を続けた時間の測定には偏りの問題も残ります。数十回のかがみ込みから練習後の反応を見る場面と異なり、この分析の単位は仕事で蓄積した5,000時間です。

深いスクワットで害が目立たなかった人たち

深いしゃがみを一律に避けるべきかを考える際には、実際に練習してきた人の研究も手がかりになります。Rojas-Jaramillo(2024)は、研究の広がりや内容を整理するスコーピングレビューという方法で、深いスクワットと膝の関節の健康を検討しました。採用した15研究のうち、深いスクワットをけがの危険と結びつけたものは症例報告1本で、残る14研究では膝の健康への悪影響が示されませんでした。症例報告は個別の患者の経過を記したもので、練習した集団全体の発症率を求める調査とは役割が異なります。

このレビューの対象は、筋力練習を行っている人たちです。Rojas-Jaramillo(2024)は、技術を保つ条件の下で深いスクワットを筋力練習に含めることに肯定的でした。ここで読み取れるのは、関節が深く曲がるという見た目だけで膝の害を決めつける説明を支持する研究が少なかったことです。健康な膝で練習に慣れている人の結果と、しゃがむたびに膝の皿の周囲が痛む人の練習開始は、出発点が違います。

膝に症状がある人については、Escamilla(2001)が膝のリハビリを行う患者に向けて挙げた浅い範囲の考え方が参考になります。しゃがんだ瞬間の関節の力、練習直後の痛み、長い期間に生じる関節の変化は、それぞれ異なる結果です。Kernozek(2018)が調べたのは健康な女性の動作で推定される力であり、痛みが減るかを追う治療の試験ではありません。深い動作の害を警戒したEscamillaの総説と、筋力練習者で害が目立たなかったRojas-Jaramilloのレビューは、対象の膝の状態と評価した結果が異なっています。

浅い動きから反応を比べる記録の手順

自分の記録の期間を2週間とし、ダッキングの回数と深さをそろえて練習後の反応を見ます。これは個人の記録の区切りであり、けがを防ぐ効果を試験で確かめた期間ではありません。Escamilla(2001)の浅い範囲の提案と、Fry(2003)の負担が股関節へ移った条件を、記録する項目に反映させます。

  • 回数と深さを決める。 ダッキングは1ラウンドあたり10回までにし、太ももが床と平行になるより浅い所に深さをそろえます。Escamilla(2001)が膝のリハビリで挙げた0〜50度を浅い範囲の参考にし、練習後と翌朝の膝の前の痛みを0〜10で書きます。痛みなしを0、想像できる最も強い痛みを10とし、実際に行った回数も残します。
  • 膝の位置と腰の反応を一緒に書く。 膝を前に出さないようにした日は、その条件をメモし、腰と股関節の張りも練習後と翌朝に0〜10で記録します。Fry(2003)では膝の前進を制限すると股関節のトルクが増えたため、膝の点数だけで楽になったと判断しないための項目です。研究で用いた板やバーベルを再現する必要はなく、習った動作の中で膝の位置を意識した日を区別します。
  • 腫れと引っかかりを中止の目安にする。 Escamilla(2001)が負担を検討した半月板や靭帯の状態を、痛みの点数だけで判定することはできません。膝が腫れる、曲げ伸ばしで引っかかるときは、ダッキングだけでなく打つ練習もやめ、症状が出た回数と深さを記します。後で比べる際も、腫れのあった日を通常どおり練習した日と同じ扱いにしないよう、記録に中止と書き添えます。

よくある質問

膝が爪先より前に出たら、すぐ直すべきですか

爪先を越えたかだけで負担の良し悪しを決めると、腰や股関節の変化が抜け落ちます。Kernozek(2018)は膝を前に出すしゃがみで膝の皿の裏の応力が高いとしましたが、Fry(2003)は前進を止めると股関節のトルクが増えるとしました。膝の前が痛むのか、腰に張りが移るのかも含めて、動作を変えた前後の反応を見る必要があります。どちらの研究も、膝の位置によって負担の配分が変わるという結果です。

深くかがめる人の方が、ダッキングも安全ですか

深くしゃがめることと、速いよけ動作を繰り返して痛まないことは別の評価です。Hartmann(2013)が挙げた深い位置での力の分散は、太ももとふくらはぎの接触などを含むスクワットの説明です。Rojas-Jaramillo(2024)の肯定的な結果も、筋力練習をしている人を中心とする研究から得られました。深さを競うより先に、同じ深さで練習した後の膝の反応を比較する方が、自分の症状の変化を捉えやすくなります。

仕事でもしゃがむ人は、練習を避けた方がよいですか

Coggon(2000)とVerbeek(2017)は、仕事で長くひざまずく・しゃがむことと関節症の関連を報告しました。仕事と練習を合計して一律の禁止回数を決めた試験ではなく、調べたのは職業上の長時間の負担です。練習の記録に仕事でしゃがむ場面が多かった日を添えると、練習を始める前からあった症状も残せます。職業の研究が重視した条件は、しゃがむ姿勢そのものに加えて、それを積み重ねた時間でした。

この記事の限界

ダッキングの参考にした測定の中心はスクワット中の関節の力やモデルによる推定で、ダッキング中の膝の負荷や初心者の練習回数と痛みの関係を直接追った研究は含まれていません。膝が腫れる、しゃがむと膝の皿の周りが痛む、曲げ伸ばしで引っかかるときは、練習を中止して整形外科で評価を受けてください。その際は症状が始まった時期に加え、何回目のダッキングから出たか、どの深さで起きたか、翌朝にも残ったかを伝えると、動作と症状の経過を説明できます。しゃがむ動作の研究は重りを担ぐ筋力練習や長年の仕事が中心で、負荷の大きさも反復時間も違う初心者のダッキングに当てはめるには距離があります。

参考文献

  1. Escamilla RF. Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Med Sci Sports Exerc. 2001;33(1):127-41.
  2. Kernozek TW. Effects of Anterior Knee Displacement During Squatting on Patellofemoral Joint Stress. J Sport Rehabil. 2018;27(3):237-243.
  3. Coggon D. Occupational physical activities and osteoarthritis of the knee. Arthritis Rheum. 2000;43(7):1443-9.
  4. Verbeek J. Occupational Exposure to Knee Loading and the Risk of Osteoarthritis of the Knee: A Systematic Review and a Dose-Response Meta-Analysis. Saf Health Work. 2017;8(2):130-142.
  5. Hartmann H. Analysis of the load on the knee joint and vertebral column with changes in squatting depth and weight load. Sports Med. 2013;43(10):993-1008.
  6. Rojas-Jaramillo A. Impact of the deep squat on articular knee joint structures, friend or enemy? A scoping review. Front Sports Act Living. 2024;6:1477796.
  7. Fry AC. Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. J Strength Cond Res. 2003;17(4):629-33.

汗が落ちる溶岩の床の上で、最初のジャブを構えてみる

  • 向く人: 相手と打ち合わずに、ミットとサンドバッグで汗をかきたい人
  • 向く人: 運動から離れていて、構えとフォームから教わり直したい人
  • 向かない人: スパーリングや試合で自分の強さを試したい人
  • 向かない人: 手首や肩、腰の痛みで医師から運動を止められている人

このサイトはオンザショア立川店の運営者が制作しています。オンザショア立川店は立川駅から徒歩1分で、床は溶岩プレートです。

オンザショア立川店のpage:13629案内

よくある質問

膝が爪先より前に出たら、すぐ直すべきですか

爪先を越えたかだけで負担の良し悪しを決めると、腰や股関節の変化が抜け落ちます。Kernozek(2018)は膝を前に出すしゃがみで膝の皿の裏の応力が高いとしましたが、Fry(2003)は前進を止めると股関節のトルクが増えるとしました。膝の前が痛むのか、腰に張りが移るのかも含めて、動作を変えた前後の反応を見る必要があります。どちらの研究も、膝の位置によって負担の配分が変わるという結果です。

深くかがめる人の方が、ダッキングも安全ですか

深くしゃがめることと、速いよけ動作を繰り返して痛まないことは別の評価です。Hartmann(2013)が挙げた深い位置での力の分散は、太ももとふくらはぎの接触などを含むスクワットの説明です。Rojas-Jaramillo(2024)の肯定的な結果も、筋力練習をしている人を中心とする研究から得られました。深さを競うより先に、同じ深さで練習した後の膝の反応を比較する方が、自分の症状の変化を捉えやすくなります。

仕事でもしゃがむ人は、練習を避けた方がよいですか

Coggon(2000)とVerbeek(2017)は、仕事で長くひざまずく・しゃがむことと関節症の関連を報告しました。仕事と練習を合計して一律の禁止回数を決めた試験ではなく、調べたのは職業上の長時間の負担です。練習の記録に仕事でしゃがむ場面が多かった日を添えると、練習を始める前からあった症状も残せます。職業の研究が重視した条件は、しゃがむ姿勢そのものに加えて、それを積み重ねた時間でした。