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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月20日

続けると安静時の心拍数は下がるのか|持久的な運動と安静時心拍の研究

昼休みに腕時計の履歴を開き、安静時の心拍数を眺めながら、ボクササイズを続ければこの数字も変わるのかと気になりませんか。下がることを期待しても、どれくらい待ち、何を目標にすればよいのかは迷うところです。持久的な運動を続けると安静時心拍数は下がる傾向があり、打撃系でも短期の試験で低下が報告されています。 その変化は、ふだんの運動を続けた経過を見る手掛かりになります。

この記事の要点
  • 持久運動では、健康な男女とも安静時心拍数が下がる傾向が示されています。
  • ムエタイ式の運動にも低下の報告がありますが、対象は運動習慣のない若い成人です。
  • 心拍数が高い人ほど死亡が多いという関連と、運動で下げる効果は別の研究結果です。
  • 筋トレだけによる低下は小さく、運動をやめた後まで低下が残るという根拠も弱い状態です。

続けると安静時の心拍数は下がるのか|持久的な運動と安静時心拍の研究

昼休みに腕時計の履歴を開き、安静時の心拍数を眺めながら、ボクササイズを続ければこの数字も変わるのかと気になりませんか。下がることを期待しても、どれくらい待ち、何を目標にすればよいのかは迷うところです。持久的な運動を続けると安静時心拍数は下がる傾向があり、打撃系でも短期の試験で低下が報告されています。 その変化は、ふだんの運動を続けた経過を見る手掛かりになります。

安静時心拍数とは、体を動かさず落ち着いているときの心臓の拍動の頻度です。練習中に上がった心拍数や、練習後に落ち着く速さとは、測っている場面が異なります。昼の画面で見る過去の記録と、その場で測った脈も、同じ条件の数字として混ぜないほうが変化を追いやすくなります。数字を低くするために強く打つことより、休んでいるときの値を同じ条件で追う準備が先です。

要点

  • 持久運動では、健康な男女とも安静時心拍数が下がる傾向が示されています。
  • ムエタイ式の運動にも低下の報告がありますが、対象は運動習慣のない若い成人です。
  • 心拍数が高い人ほど死亡が多いという関連と、運動で下げる効果は別の研究結果です。
  • 筋トレだけによる低下は小さく、運動をやめた後まで低下が残るという根拠も弱い状態です。

安静時心拍数と運動の関係は、種類と出発点で変わる

運動で心臓が鍛えられれば、休んでいるときの拍動も少なくなるという説明を耳にします。実際に下がる傾向は研究にもありますが、運動の種類によって結果の強さは異なります。Reimers(2018)は、健康な人を対象に、比較する群を置いて運動の効果を調べた191研究をまとめました。これはメタ分析と呼ばれる、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。

Reimers(2018)の分析には、持久運動を調べた121試験と、筋力トレーニングを調べた43試験などが含まれています。持久運動は、呼吸と循環を使って体を動かし続ける運動で、強い動きと休息を繰り返す形式も検討の対象になります。運動の種類ごとの結果は低下する方向でしたが、男女とも統計的にはっきりした低下が出たのは持久運動とヨガでした。持久的な運動を選ぶことには、安静時の数字の変化を期待する根拠があります。

同じReimers(2018)の分析では、始める前の心拍数が高い人ほど、また若い人ほど下がり幅が大きい傾向がありました。これは、練習内容が同じでも全員が同じ幅で下がるという話ではありません。すでに低めの人が、他人と同じ低下を目指して運動を増やす必要はなく、出発点も記録の一部になります。年齢や開始前の値によって変化の幅が異なるという結果は、友人同士で下がり幅を競わない理由にもなります。

一方、この研究の抄録には、平均で何拍下がったかという具体値は記載されていません。したがって、翌月までに何拍下げるという数値目標は、この結果から設定できません。Reimers(2018)が支えるのは、健康な人の運動介入をまとめると、とくに持久運動とヨガで低下が見られるという方向性です。

ムエタイ式の試験で下がったのは、若い成人の短期の値

キックボクシングに関心がある読者には、打撃の動きでも変化が出るかが気になるはずです。Areeudomwong(2026)は、運動習慣のない若い成人58人を、自宅でムエタイ式の運動をする群と、健康教育に中強度運動を組み合わせる群に分けました。くじ引きのように偶然に任せて群を分ける無作為化比較試験で、期間は6週間でした。比べた相手も運動をしている点が、この試験を読むうえで大切です。

Areeudomwong(2026)のムエタイ式の内容は、高強度インターバル、つまり強い運動と休息を交互に繰り返す方式です。安静時心拍数は、健康教育と中強度運動の群より大きく下がりました。運動中に取り込める酸素の最大量を表す最大酸素摂取量や、血圧にも改善が報告されています。打撃の動きを含む運動を継続した結果として、安静時の指標も変化した試験です。

ただし、Areeudomwong(2026)の抄録にも、下がった拍数の具体値はありません。自宅で行うムエタイ式の高強度運動と、一般のボクササイズの練習では、動く時間や休み方が異なります。運動習慣のない若い成人での短期結果を、持病がある人や違う年齢層の安全性まで含めて、そのまま当てはめることはできません。初心者が研究名だけを頼りに全力の反復をまねるより、実際に続けた内容と安静時の記録を対応させるほうが目的に合います。

よく言われること 研究で示されたこと 比べた相手・条件 対象
運動なら同じように下がる 持久運動とヨガでは男女とも低下が明確だった。Reimers(2018) 比較群を置いた運動介入 健康な人
打撃系でも下がる ムエタイ式の群で安静時心拍数がより低下した。Areeudomwong(2026) 健康教育と中強度運動 運動習慣のない若い成人
筋トレだけでも大きく下がる 低下の効果は小さかった。Rivera-Mejía(2026) 筋トレの比較試験 閉経後の女性
下がった値は運動をやめても残る 中断後は低下が統計的に明確でなくなった。Zhang(2026) 運動をやめた後の追跡 運動介入試験の参加者

高い心拍数と死亡の関連は、下げる治療の効果ではない

安静時心拍数が健康の話題になる背景には、将来の死亡との関連があります。Chen(2026)は若い成人を追跡した観察研究で、安静時心拍数が高いほど、原因を問わない死亡の危険が高いという関連を報告しました。観察研究とは、研究者が運動などを割り当てず、人々の状態とその後の結果を追う研究です。心拍数は、長い期間の健康状態を考える手掛かりのひとつになっています。

Chen(2026)では、安静時心拍数が10拍/分高いごとのハザード比は、主な集団で1.26、別の集団で1.17でした。ハザード比は、追跡中に出来事が起こる危険の比を表します。推定値の不確かさの幅を示す95%信頼区間は、それぞれ1.07〜1.50と1.12〜1.22でした。これは心拍数の異なる人々を比べた結果で、同じ人の脈を運動で下げたときの変化量ではありません。

Wen(2026)も、健診を受けた成人を追う観察研究で、安静時心拍数が10拍/分高いごとに、がんによる死亡が10%多いという関連を報告しています。心拍数が高い人でも、運動をしている人では死亡の危険が低いという結果でした。一方、運動量は本人の申告で、心拍数も測定時点の値を用いています。毎朝の記録がどのように変わり、その変化が将来にどうつながるかを検証した運動試験とは異なる設計です。

健康状態や生活習慣は、心拍数にも将来の病気にも関係します。観察研究でそれらを考慮しても、心拍数を下げる行為だけの効果を切り出すのは難しいため、低い表示を追い求めることを運動の中心に据えないほうがよいでしょう。Wen(2026)では、心拍数が高い人の中でも身体活動と低い死亡の危険が結びついており、運動の評価は心拍数の低さだけで完結していません。

筋トレの変化が小さくても、運動全体の失敗にはならない

ミットを打つ運動と筋力トレーニングを組み合わせる人は、どの運動が数字に表れるかも気になるところです。Rivera-Mejía(2026)は、閉経後の女性における筋トレの比較試験をまとめました。安静時心拍数は低下しましたが、その効果は小さいと評価されています。筋肉に負荷をかける運動の成果を、安静時の脈だけで採点すると、得られた変化を狭く捉えることになります。

Rivera-Mejía(2026)が報告した心拍数の効果量は0.30で、95%信頼区間は0.02〜0.58でした。効果量とは、異なる研究を比べやすい形にそろえた効果の大きさであり、拍/分で表す低下幅ではありません。信頼区間の下端が小さいことからも、大きな低下を期待する材料にはしにくい結果です。同じ分析での血圧の変化は中程度とされ、測る指標によって変化の大きさが違いました。

ここで持久運動の結果と並べると、矛盾して見えるかもしれません。Reimers(2018)は健康な人のさまざまな運動をまとめ、Rivera-Mejía(2026)は閉経後の女性の筋トレに絞っています。対象と運動内容が違うため、前者で男女とも明確だった運動の種類と、後者で小さい効果が出たことは両立します。閉経後の女性での筋トレの平均的な結果を、若い成人のムエタイ式運動の変化量と直接比べて順位をつけることはできません。

練習を続けても脈の表示が動かないと、強度を上げれば解決すると考えがちです。しかし、ここで示されたのは集団の平均的な変化で、低下が目立たない人に追加の負荷を割り当てた試験ではありません。Rivera-Mejía(2026)の結果では、心拍数の効果が小さい一方で血圧などにも好ましい変化があり、心拍数の変化だけを運動の合否判定に使う必要はありません。

中断後は、以前の低い値を維持できるとは限らない

運動を続けて数字が下がると、その状態が体に定着したように感じるかもしれません。Zhang(2026)は、運動をやめた後の変化を調べた86研究、5670人をまとめています。運動の開始前後だけでなく、中断後まで追った無作為化比較試験のメタ分析です。ここでの問いは、運動によって得た変化のうち、何がその後も残るかでした。

Zhang(2026)では、体重や最大酸素摂取量の改善は、運動をやめた後もしばらく残っていました。一方、安静時心拍数の改善は、追跡時期で分けたいずれの集団でも統計的に明確でなくなっていました。体力や体の状態の変化が、すべて同じ速さで消えるわけではないという結果です。以前の低い脈が続かなくなったときも、過去の運動の成果が全部失われたと受け取る必要はありません。

また、統計的に明確でなくなったことは、参加者全員が同じ日に開始前の値へ戻ったことを意味しません。Zhang(2026)には運動の種類や実施期間の異なる研究が集まっており、中断後の変化にも幅があります。休む日があっただけで効果が消えるという読み方や、休まず続けるほどよいという読み方は、この研究の設計と合いません。練習をやめた時期も記録に残すと、開始前から継続中、そして中断後までの経過が見えます。

この結果から実用的に取り入れたいのは、下がった数字を固定の到達点にしないことです。忙しい時期に中断した場合は、再開後の記録を以前の練習中の記録と区別し、続けられた内容も一緒に見ます。Zhang(2026)が示した安静時心拍数の特徴は、運動をやめた後にまで、低下が明確に残る指標ではなかったことです。

朝の値と練習の記録を、同じ期間で並べる

自分の経過を見るなら、測定の条件をそろえ、続けた期間を決めて振り返る方法が使えます。Areeudomwong(2026)の6週間という期間を、記録の区切りとして借りると始めやすくなります。これは研究の高強度運動を自宅で再現する提案ではなく、ふだんの練習と朝の値を並べておく方法です。次の項目をノートや表計算に用意し、記入する場所を先に決めておきます。

  • 朝の記録欄を作る。Areeudomwong(2026)の6週間を区切りに、起床後に落ち着いた同じ姿勢で測り、日付と拍/分の値を記します。測った時刻と姿勢も添え、いつもと条件が違った日はその内容を残します。
  • 練習の実施欄を作る。Areeudomwong(2026)と同じ6週間の枠に、運動した日、運動の種類、かかった時間を分で記します。週ごとの実施回数も残すと、心拍数が変わった時期に実際に何を続けていたかを見返せます。
  • 振り返る欄を作る。Areeudomwong(2026)の6週間を終えたら、週ごとの朝の値の平均と、運動の記録を横に並べます。測り忘れた日は空欄のままにし、平均に使った測定回数も添えると、記録の少ない週を見落としません。

朝の値を集めるときは、低く出るまで何度も測り直して最小値を採用する方法は避けます。同じ条件で残した値を用い、低い日だけでなく高い日も履歴に含めることが、経過を歪めないために大切です。Reimers(2018)では開始前の心拍数によって下がり幅が異なったため、比較の起点も自分の記録に置きます。運動を始める前の値が残っていれば、その記録も捨てずに保管しておきます。

胸の痛み、失神、強いめまいを伴うときは、数値を追う作業や運動を止め、症状への対応を優先します。数字を下げたい気持ちだけで全力運動を増やす方法は、こうした症状がある人には向きません。体調を無視して強度を上げるより、Areeudomwong(2026)が調べたのは若い成人の短期間の運動効果であることを踏まえ、記録の区切りを日々の変化の評価に使います。

よくある質問

下がらなければ、ボクササイズを続けても効果がないのですか

安静時の値が動かないだけで、運動全体の効果がないとは判定できません。Rivera-Mejía(2026)では、筋トレによる心拍数の変化は小さく、血圧の変化とは大きさが異なりました。Areeudomwong(2026)のムエタイ式試験でも、安静時心拍数だけでなく最大酸素摂取量や血圧を評価しています。数字が動かないときは、練習を続けた内容と、評価する指標の違いに目を向けられます。

元から低い人も、さらに下げることを目指すべきですか

Reimers(2018)では、始める前の心拍数が高い人ほど下がり幅が大きい傾向がありました。出発点の低い人が、高い人と同じ低下幅を目標にする根拠にはなりません。また、研究は各人が目指すべき最低値を示すものではありません。運動の記録として使うなら、他人の低い数字を追うより、自分が継続している期間の経過を見る使い方が適しています。

昼休みに測った値を朝の値と混ぜてもよいですか

朝の記録と昼の測定は、別の欄に残すほうが経過を追いやすくなります。食事や移動を挟んだ昼の値と、起床後に落ち着いて測った値では、測定までの状況が異なるためです。昼休みには朝の履歴を見返し、測定そのものは同じ場面にそろえる方法があります。運動の介入前後を比較したReimers(2018)の研究を日常に生かす際も、比較する数字の条件をそろえることが土台です。

この記事の限界

比較する相手は、持久運動の各試験の比較群、健康教育と中強度運動の群、心拍数の異なる観察集団とまちまちで、打撃系の根拠は運動習慣のない若い成人の短期試験に限られます。胸痛や失神を伴う場合は速やかに医療機関へつなぎ、安静時の値の変化が続いて気になる場合は、測定条件と症状を循環器内科で伝えてください。ここで扱った運動効果の平均は、個人の脈の異常を診断したり、治療の必要性を判断したりするものではありません。

持久的な運動による低下、筋トレによる小さな変化、中断後に低下が明確でなくなる結果を合わせると、安静時心拍数は低さを獲得して終える目標より、運動を続けている期間の変化を追う指標に適しています。

参考文献

  1. Reimers ほか. Effects of Exercise on the Resting Heart Rate: A Systematic Review and Meta-Analysis of Interventional Studies. J Clin Med. 2018;7(12):E503.
  2. Areeudomwong ほか. Effects of home-based Thai-boxing high-intensity interval training on physical fitness and body composition in sedentary young adults: A six-week randomized controlled trial. J Educ Health Promot. 2026;15:282.
  3. Chen ほか. Resting heart rate and long-term mortality in young adults: a population-based cohort study. Open Heart. 2026;13(2):e004279.
  4. Wen ほか. Resting Heart Rate-An Independent Prognostic Marker for Cancer Mortality and a Modifiable Target of Physical Activity: A Prospective Cohort Study of 615,730 Asian Participants. Mayo Clin Proc. 2026;101(10):1724-1737.
  5. Rivera-Mejía ほか. Resistance training improves cardiovascular health in postmenopausal women: systematic review and meta-analysis. J Appl Physiol (1985). 2026;141(2):619-641.
  6. Zhang ほか. The effects of detraining on body composition and cardiometabolic health: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Front Physiol. 2026;17:1891899.

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  • 向く人: 運動から離れていて、構えとフォームから教わり直したい人
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  • 向かない人: 手首や肩、腰の痛みで医師から運動を止められている人

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よくある質問

下がらなければ、ボクササイズを続けても効果がないのですか

安静時の値が動かないだけで、運動全体の効果がないとは判定できません。Rivera-Mejía(2026)では、筋トレによる心拍数の変化は小さく、血圧の変化とは大きさが異なりました。Areeudomwong(2026)のムエタイ式試験でも、安静時心拍数だけでなく最大酸素摂取量や血圧を評価しています。数字が動かないときは、練習を続けた内容と、評価する指標の違いに目を向けられます。

元から低い人も、さらに下げることを目指すべきですか

Reimers(2018)では、始める前の心拍数が高い人ほど下がり幅が大きい傾向がありました。出発点の低い人が、高い人と同じ低下幅を目標にする根拠にはなりません。また、研究は各人が目指すべき最低値を示すものではありません。運動の記録として使うなら、他人の低い数字を追うより、自分が継続している期間の経過を見る使い方が適しています。

昼休みに測った値を朝の値と混ぜてもよいですか

朝の記録と昼の測定は、別の欄に残すほうが経過を追いやすくなります。食事や移動を挟んだ昼の値と、起床後に落ち着いて測った値では、測定までの状況が異なるためです。昼休みには朝の履歴を見返し、測定そのものは同じ場面にそろえる方法があります。運動の介入前後を比較したReimers(2018)の研究を日常に生かす際も、比較する数字の条件をそろえることが土台です。