- 軽度の扁平足では、膝の前の痛みや腰痛の割合が高くなかった調査があります。
- 足の内側への倒れ込みとすねの内側の痛みには関連がありますが、その効果は小さいものでした。
- 足底装具はけが全体を減らした一方、衝撃吸収インソールには予防効果が示されませんでした。
- 土踏まずを持ち上げる運動では痛みや足の形が改善した研究があり、けがの予防とは別の結果です。
扁平足でステップを踏むとき|土踏まずの形と足のけがの研究
自宅の玄関で靴を脱ぐと、体重をかけた足の内側が床に近く見えます。土踏まずが低いままボクササイズで跳ねたり、キックの軸脚になったりすると、けがをしやすいのでしょうか。軽い扁平足という理由だけで運動を避ける根拠は弱く、程度と痛みの有無によって判断が変わります。 中敷きについても、足の形を支えるものと衝撃を吸収するものでは、研究の結果が異なります。
扁平足は、足の内側にある土踏まずの弓状の構造が低い状態です。見た目の高さ、立ったときの倒れ込み、動いた後の痛みは、それぞれ別の手がかりになります。大学の運動選手を追ったMichelson(2002)は、扁平足がその後の脚のけがを予測する要因にならなかったと報告しています。一方、Kosashvili(2008)では、中等度以上の扁平足と膝や腰の痛みに関連があり、程度をまとめて扱うと違いが隠れます。初心者が知っておきたいのは、土踏まずを高く見せる方法よりも、どの状態とどの結果を結び付けた研究なのかという点です。
要点
- 軽度の扁平足では、膝の前の痛みや腰痛の割合が高くなかった調査があります。
- 足の内側への倒れ込みとすねの内側の痛みには関連がありますが、その効果は小さいものでした。
- 足底装具はけが全体を減らした一方、衝撃吸収インソールには予防効果が示されませんでした。
- 土踏まずを持ち上げる運動では痛みや足の形が改善した研究があり、けがの予防とは別の結果です。
扁平足の運動は、足の形だけで決めない
土踏まずが低いと、足が衝撃を受け止めにくそうに感じるかもしれません。しかし、形が違うことと、実際にけがが増えることの間には、確かめるべき段階があります。Michelson(2002)は大学の運動選手196人について、足が床に接する面積を測り、その後の脚のけがとの関係を追いました。このように、先に特徴を調べてから後の出来事を観察する方法を、前向き研究と呼びます。
Michelson(2002)の研究では、脚のけがが計227件起きましたが、扁平足は調べたけがの危険因子になりませんでした。危険因子とは、その後のけがや病気の起こりやすさと関連する特徴のことです。性別や接触のある競技かどうかは一部のけがと関連したため、何を調べても差が出なかった研究ではありません。足の接地面積から見た扁平足よりも、ほかの条件がけがの発生に関わっていた結果です。
ここから、低い土踏まずを見ただけで「跳ねる運動には不向き」と判断する必要は薄いと考えられます。足の形を理由に、まだ痛みも出ていない段階からすべてのステップを避けるという判断を、この研究は支持していません。研究の著者も、扁平足の選手全員に、けが予防を目的として中敷きを使わせる根拠は乏しいとしています。ただし、大学選手の接地面積による評価であり、痛みのある成人の足の状態をすべて同じように扱える結果ではありません。
また、扁平足と回内足は、この記事で近い話題として出てきますが、評価している特徴が異なります。回内足とは、立った姿勢で足が内側へ倒れ込む形を指し、土踏まずの高さだけで表す言葉ではありません。Neal(2014)がまとめたのは立位の足の姿勢と使いすぎによるけがの関係で、Michelson(2002)が用いた接地面積とは測り方が違います。見た目の印象をそのまま研究の分類に置き換えるより、何を測った結果なのかを添えて読む必要があります。
軽度と中等度以上では、痛みとの関係が違う
「扁平足の人」という大きなくくりには、土踏まずの落ち込みが軽い人も強い人も含まれます。Kosashvili(2008)は、入隊検査を受けた若者97279人の記録を振り返り、扁平足の程度と膝の前の痛み、時々起こる腰痛との関係を調べました。過去の記録を用いるこの研究では、扁平足が軽度の人と中等度以上の人で、結果が異なっていました。程度を無視して「扁平足は膝や腰に悪い」とまとめると、軽度の人まで不安にさせてしまいます。
Kosashvili(2008)で時々起こる腰痛があった割合は、扁平足でない比較群と軽度の群ではどちらも5%、中等度と重度の群では10%でした。膝の前の痛みについても、軽度では割合が高くならず、中等度以上で多いという方向でした。ここで数えているのは、痛みがある人の割合です。ステップを始めた後に新しくけがをした人数や、痛みが始まるまでの期間を調べた結果とは異なります。
この違いは、靴や中敷きを考えるときにも関係します。軽度で症状のない人と、足の落ち込みが大きく痛みもある人とでは、解決したい問題が同じではありません。前者では将来のけがを防ぐ必要があるかが問いになり、後者では現在の痛みや動きにくさをどう扱うかが問いになります。程度と道具についての研究を並べると、次のように比較する対象も変わります。
| 区分 | 研究で得られた結果 | 比べた相手・対象 |
|---|---|---|
| 軽度の扁平足 | 膝の前の痛みや腰痛の割合は高くなかった | 扁平足でない若者との比較。Kosashvili(2008) |
| 中等度以上の扁平足 | 膝の前の痛みや腰痛が多かった | 同じ入隊検査の集団内での比較。Kosashvili(2008) |
| 足底装具 | けが全体は減ったが、筋肉や腱などのけがには効果がなかった | 装具を使う条件と対照条件。主に軍の訓練生。Bonanno(2017) |
| 衝撃吸収インソール | けがを減らす効果は示されなかった | 衝撃吸収材を使う条件と対照条件。Bonanno(2017) |
すねの内側の痛みとの関連は、小さいながら残る
足の形とけがに関係がないという報告だけで、すべての部位の心配を取り除けるわけでもありません。Neal(2014)は、立ったときの足の姿勢と使いすぎによる脚のけがを調べた21研究、計6228人の結果をまとめました。研究を一定の基準で集めて検討する系統的レビューと、複数の結果をまとめて計算するメタ分析という方法です。回内足は、すねの内側の痛みであるシンスプリントの危険因子だという強い証拠がありました。
一方、Neal(2014)が報告した関連の効果量は0.28〜0.33で、小さいものでした。効果量は、関係や違いの大きさを表す指標で、けがをする人の割合や危険の倍率とは異なります。「関連を支持する証拠が強い」と「関連そのものが大きい」は別の意味です。研究を重ねても関連は残るけれど、足の姿勢だけでけがをよく予測できるほどの大きさではない、という読み方になります。
Neal(2014)では、膝の前の痛みとの関連については証拠が非常に限られ、足首のけがとの関連も見られませんでした。すねの内側で関連があるからといって、足のけが全体に同じ関係があるわけではありません。初心者が足の形を気にするときも、痛む場所をひとまとめにしないことが大切です。この研究で比較的はっきりしていたのは、立位での内側への倒れ込みと、すねの内側の使いすぎによる痛みの関係です。
運動の現場で役立つのは、足の形が低いか高いかだけに注意を集中させないことです。たとえば、同じ見た目のままでも、練習後にすねが痛む状態と、痛まずに歩ける状態は別に扱う必要があります。けがを予測する特徴があるという話は、痛みを我慢してもよい理由にはなりません。Neal(2014)の小さな関連は、足の形を身体の評価の一部として見る根拠になりますが、それだけを運動可否の判定にするほどの結果ではありません。
足底装具と柔らかいインソールは、同じものではない
「中敷きを入れれば安心」という考え方では、道具の働きの違いが抜け落ちます。Bonanno(2017)は、足の形を支える足底装具と、衝撃を吸収するインソールを分けて、けがの予防効果をまとめました。足底装具は足の形に合わせて支える中敷きで、単に柔らかい材料を敷くものとは目的が異なります。足底装具にはけが全体を減らす結果があり、衝撃吸収インソールにはその結果がありませんでした。
Bonanno(2017)で足底装具を使った条件のけが全体の相対危険は、対照条件に対して0.72倍でした。相対危険は起こりやすさの倍率で、推定の幅を表す95%信頼区間は0.55〜0.94です。一方、衝撃吸収インソールの相対危険は0.92倍、95%信頼区間は0.73〜1.16で、けがを減らす効果は示されませんでした。比較しているのは製品を履いた感触ではなく、その後のけがの発生です。
足底装具の結果にも、効いた領域と効かなかった領域があります。Bonanno(2017)では、けが全体と疲労骨折は減った一方、筋肉や腱などの柔らかい組織のけがは減りませんでした。足を支える道具を使ったからといって、すべての痛みや故障への備えが済むわけではありません。試験の質にもばらつきがあり、対象の多くは軍の訓練生で、扁平足に限った集計ではない点が重要です。
このため、Michelson(2002)の「扁平足の選手全員に予防目的の中敷きを使う根拠は乏しい」という結論と、Bonanno(2017)の装具の効果は、直接の矛盾ではありません。前者は扁平足という特徴がけがを予測するかを調べ、後者は道具を使う条件と使わないなどの対照条件を比較しています。痛みのない軽度の扁平足に、中敷きを一律に勧めるためには、対象と目的をそろえた比較が必要です。少なくとも、衝撃吸収インソールについては、柔らかさをけが予防の効果と同じものとして扱う裏付けはありません。
土踏まずの運動は、形と痛みの変化を記録する
足の形は変えられないと考える前に、足そのものを動かす研究にも目を向けられます。Unver(2020)は扁平足の41人を、ショートフット運動をする群と対照群に分けて調べました。ショートフット運動とは、足の指を曲げずに土踏まずを持ち上げる運動です。運動した群では、土踏まずの落ち込み、内側への倒れ込み、足の痛み、不自由さが減りました。
Unver(2020)で運動を行った条件は、毎日6週間です。群分けはくじ引きではない準実験という方法であり、参加者の違いが結果に影響する余地があります。また、測った結果には足の形だけでなく、痛みや生活上の不自由さも含まれていました。したがって、自分で経過を見るなら、土踏まずが高く見えるかだけに注目するより、痛みや日常動作の変化も一緒に記録する方が研究の評価項目に近づきます。
次の手順は、研究の期間と評価した項目を手がかりに、日々の変化を残すための方法です。痛みの記録の頻度と尺度は、自宅で比較しやすくするための目安であり、試験の測定方法を再現したものではありません。Unver(2020)の毎日6週間という条件も、痛みを押して続ける基準としてではなく、試験で観察した期間として用います。
- 動きと足の形を残す。 Unver(2020)の毎日6週間という期間を参考にするなら、始める前に鏡で足の内側を見て、左右の違いを文章か写真で残します。痛みがなく安定して立てる場合に片脚へ体重を移し、土踏まずが床に近づく様子も記録します。これは研究で評価した落ち込みを意識する観察であり、見た目から軽度や重度を判定する手順にはしません。
- 痛みの経過を同じ尺度で残す。 Unver(2020)の毎日6週間の運動を試す場合、足の痛みを週1回、0〜10の数で記録します。0を痛みなし、10を想像する最も強い痛みとして、痛む場所と歩きにくさも添えます。土踏まずを持ち上げる動作自体で痛みが増すなら、その動作は中止して、記録に残します。
- 翌日まで残る症状を運動と並べる。 Unver(2020)の6週間を記録期間とする場合、ステップを踏んだ日には、すねの内側の痛みが翌日まで残ったかを書き留めます。残る場合は跳ねるステップの回数を減らし、痛みが増す動きは中止します。Neal(2014)が関連を報告したすねの内側の痛みと、Unver(2020)が評価した足の痛みは、場所を分けて記録します。
Unver(2020)で観察されたのは、運動の前後における足の形と症状の改善です。ステップの速さやキックの強さを高めるための試験ではなく、けがの発生を数えた試験でもありません。痛みが軽くなった記録は、その人の症状の経過を表しますが、将来のけがを防いだ証拠とは異なります。研究で改善した項目に合わせて、足の形、痛み、不自由さを別々に残すことが、この運動を評価する際の手がかりになります。
よくある質問
痛みがなくても、扁平足なら跳ねるステップを避けるべきですか
軽度の扁平足という理由だけで避ける根拠は弱いと考えられます。Michelson(2002)は大学選手の脚のけがを追い、扁平足が危険因子にならなかったと報告しています。また、Kosashvili(2008)でも、軽度では膝の前の痛みや腰痛の割合が高くなっていませんでした。足の形だけで運動を制限する判断を、これらの結果は支持していません。
クッションの厚い中敷きを入れると、けがは減りますか
厚さや柔らかさだけで予防効果を判断する根拠はありません。Bonanno(2017)の比較では、衝撃吸収インソールはけがを減らさず、足の形を支える足底装具とは結果が異なりました。装具の結果も主に軍の訓練生を対象にしており、履き心地を比較した試験とは別です。柔らかく感じることと、けがが少なくなることは、道具を評価する別の項目です。
土踏まずが上がれば、ステップでけがをしにくくなりますか
Unver(2020)で改善したのは土踏まずの落ち込みや痛み、不自由さで、けがの数は測っていません。形の変化と予防効果を結び付けるには、その後のけがも追う必要があります。形が変わったかだけを成功の目印にせず、足の痛みや歩きにくさがどう変化したかも見ると、試験で評価した内容に近づきます。
この記事の限界
足の形や道具の研究では比較相手が、扁平足でない若者、足底装具を使わないなどの対照条件、足の運動をしない群と異なります。対象も大学選手や軍の訓練生などで、ボクササイズ初心者にそろえた比較ではありません。足の運動の研究は短期間の小規模な準実験で、痛みの改善と長期のけが予防は別の評価です。
片側だけ急に土踏まずが落ちた場合や足首の内側が腫れる場合は、整形外科で、いつから変化し、どの動作で痛むかを伝えます。裸足や薄い靴で跳ねる打撃系の練習について確かめるには、足の形と症状を先に評価し、練習量を考慮してその後のけがを比べる研究を設計する必要があります。
参考文献
- Neal ほか. Foot posture as a risk factor for lower limb overuse injury: a systematic review and meta-analysis. J Foot Ankle Res. 2014;7(1):55.
- Michelson ほか. The injury risk associated with pes planus in athletes. Foot Ankle Int. 2002;23(7):629-633.
- Kosashvili ほか. The correlation between pes planus and anterior knee or intermittent low back pain. Foot Ankle Int. 2008;29(9):910-913.
- Bonanno ほか. Effectiveness of foot orthoses and shock-absorbing insoles for the prevention of injury: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2017;51(2):86-96.
- Unver ほか. Effects of Short-Foot Exercises on Foot Posture, Pain, Disability, and Plantar Pressure in Pes Planus. J Sport Rehabil. 2020;29(4):436-440.
汗が落ちる溶岩の床の上で、最初のジャブを構えてみる
- 向く人: 相手と打ち合わずに、ミットとサンドバッグで汗をかきたい人
- 向く人: 運動から離れていて、構えとフォームから教わり直したい人
- 向かない人: スパーリングや試合で自分の強さを試したい人
- 向かない人: 手首や肩、腰の痛みで医師から運動を止められている人
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よくある質問
痛みがなくても、扁平足なら跳ねるステップを避けるべきですか
軽度の扁平足という理由だけで避ける根拠は弱いと考えられます。Michelson(2002)は大学選手の脚のけがを追い、扁平足が危険因子にならなかったと報告しています。また、Kosashvili(2008)でも、軽度では膝の前の痛みや腰痛の割合が高くなっていませんでした。足の形だけで運動を制限する判断を、これらの結果は支持していません。
クッションの厚い中敷きを入れると、けがは減りますか
厚さや柔らかさだけで予防効果を判断する根拠はありません。Bonanno(2017)の比較では、衝撃吸収インソールはけがを減らさず、足の形を支える足底装具とは結果が異なりました。装具の結果も主に軍の訓練生を対象にしており、履き心地を比較した試験とは別です。柔らかく感じることと、けがが少なくなることは、道具を評価する別の項目です。
土踏まずが上がれば、ステップでけがをしにくくなりますか
Unver(2020)で改善したのは土踏まずの落ち込みや痛み、不自由さで、けがの数は測っていません。形の変化と予防効果を結び付けるには、その後のけがも追う必要があります。形が変わったかだけを成功の目印にせず、足の痛みや歩きにくさがどう変化したかも見ると、試験で評価した内容に近づきます。