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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月18日

週1回のキックボクシングで体力はつくのか|練習の回数と持久力・筋力の研究

週2回と週3回を比べたムエタイの試験では、どちらの群も体力が伸びましたが、伸び方に明確な差はありませんでした。Rapkiewicz(2018)が運動習慣のない健康な女性を調べた結果で、週1回の群は設けられていません。週末の予定を見ながら、平日は通えそうにないと考える人にとって、回数による違いは気になるところです。仕事の都合に合わせた練習でも体力をつける意味があるのかが、この記事で考える問いです。

この記事の要点
  • 打撃系の頻度比較では、Rapkiewicz(2018)のムエタイの試験で、週2回と週3回の体力の伸びに明確な差がありませんでした。
  • Siu(2026)では週の合計を75分にそろえ、まとめる群も分ける群も、健康教育だけの群より体脂肪量が減りました。
  • Montero(2017)の持久運動の試験では、少ない回数で心肺体力が伸びなかった人も、運動量を増やすと伸びました。
  • Grgic(2018)の筋力トレーニングの分析では、週の総量をそろえた比較で頻度による明確な差が消えました。

週1回のキックボクシングで体力はつくのか|練習の回数と持久力・筋力の研究

週2回と週3回を比べたムエタイの試験では、どちらの群も体力が伸びましたが、伸び方に明確な差はありませんでした。Rapkiewicz(2018)が運動習慣のない健康な女性を調べた結果で、週1回の群は設けられていません。週末の予定を見ながら、平日は通えそうにないと考える人にとって、回数による違いは気になるところです。仕事の都合に合わせた練習でも体力をつける意味があるのかが、この記事で考える問いです。

週にまとめて運動することにも意味はありますが、体力の伸びには個人差があり、通う回数とともに週の合計量を考えることが鍵になります。 ただし、「体力」を息切れしにくさと考えるのか、筋肉の力と考えるのかで、読むべき研究は変わります。体脂肪が減ることと、長く動けるようになることも別の結果です。回数だけに注目するより、何を伸ばしたいか、研究では何を測ったかを合わせると、週末の練習に期待する変化が具体的になります。

要点

  • 打撃系の頻度比較では、Rapkiewicz(2018)のムエタイの試験で、週2回と週3回の体力の伸びに明確な差がありませんでした。
  • Siu(2026)では週の合計を75分にそろえ、まとめる群も分ける群も、健康教育だけの群より体脂肪量が減りました。
  • Montero(2017)の持久運動の試験では、少ない回数で心肺体力が伸びなかった人も、運動量を増やすと伸びました。
  • Grgic(2018)の筋力トレーニングの分析では、週の総量をそろえた比較で頻度による明確な差が消えました。

キックボクシングの週1回の効果を、測ったものから読む

「通う回数が少なくても効果がある」という言葉には、違う種類の変化が含まれます。Rapkiewicz(2018)が調べたのは、ムエタイを続けた後の体力と体組成です。体組成とは、脂肪や筋肉など、体を構成するものの内訳を指します。この試験では体力が伸びた一方、体組成には変化がなく、同じ練習でも測る項目によって結果が異なりました。

心肺体力は、運動を続ける際に酸素を取り込み、体へ運んで使う能力です。Montero(2017)は持久運動に対するその変化を調べ、Grgic(2018)は筋力トレーニングで発揮する力の変化をまとめています。息が上がる運動をしたこと、重いものを動かす力が増えたこと、体脂肪が減ったことは、それぞれ異なる評価です。下の表では、回数の比較と測定項目を対応させています。

研究 比べた回数・条件 測ったもの 言えないこと
Rapkiewicz(2018) ムエタイを週2回と週3回 心肺体力、筋持久力、脚のパワーなど 週1回でも同じ伸びが出るか
Siu(2026) 週1回と週3回で合計75分、健康教育のみ 主に体脂肪量 脂肪量の結果だけから持久力や筋力の伸びを決めること
Montero(2017) 持久運動を週1〜5回 心肺体力の変化 その割合をキックボクシングの初心者に移すこと
Grgic(2018) 筋力トレーニングの頻度と総量 筋力の伸び 打撃練習を筋力トレーニングと同じ量として扱うこと

打撃系では、回数が多い群だけが伸びたわけではない

Rapkiewicz(2018)は、運動習慣のない健康な女性20人を無作為に、つまりくじ引きのような方法で群に分けました。ムエタイを週2回する群は9人、週3回する群は11人で、同じプログラムを13週間続けています。どちらの群でも最大酸素摂取量、筋持久力、脚のパワーなどが改善しました。最大酸素摂取量は運動中に取り込める酸素の最大量、筋持久力は力を繰り返し出し続ける能力の目安です。

Rapkiewicz(2018)が報告した各運動能力の相対的な変化の平均は、週2回群で28.5%、週3回群で27.5%でした。これは個々の項目の変化率を平均した値で、心肺体力だけの伸び率ではありません。群の間では、測った項目のいずれにも統計的に有意な差、つまり偶然のばらつきだけでは説明しにくいと判定される差が出ませんでした。したがって、回数が多い群のほうが体力面で優れた、という結果ではありません。

この試験のよい点は、打撃を含む運動を、もともと運動習慣のない人が続けた点です。競技の勝敗ではなく、基礎的な運動能力を評価しているため、運動を始めたい読者の目的とも重なります。一方で、Rapkiewicz(2018)の対象は20人と小さく、群の間の差を見つける力にも制約があります。「差を捉えなかった」という結果を読み、回数を増やせば増やすほど同じ割合で伸びるという期待をいったん外すのが適切です。

体組成が変わらなかったことも、この試験を読む際の大事な部分です。Rapkiewicz(2018)では、見た目や体重の変化とは別に、体を動かす能力が改善しています。体形の変化だけで練習の価値を評価すると、こうした進歩を見落とします。週末に運動を続ける目的として、体脂肪の変化と運動能力の変化を分けておくと、研究の結果を生活に結びつけやすくなります。

合計時間が同じなら、体脂肪の結果は近かった

Siu(2026)は、過体重で中心性肥満のある成人を対象にしました。中心性肥満とは、お腹まわりに脂肪が多く蓄積した状態です。参加者を週1回の運動、週3回の運動、健康教育だけの対照群に無作為に分け、各群105人で比較しています。運動には、高い強度の運動と休息などを交互に行う高強度インターバル訓練を用いました。

重要なのは、Siu(2026)の運動群がどちらも週75分を行った点です。週1回群はその時間をまとめ、週3回群は分けて取り組みました。したがって、回数と同時に合計時間まで大きく変える比較とは設計が違います。「少ない回数」の意味が、「運動の総量も少ない」ではなかったことを押さえる必要があります。

健康教育だけの群と比べた体脂肪量の差は、Siu(2026)では週1回群が-0.8kg、週3回群が-1.0kgでした。推定値の不確かさを表す95%信頼区間は、それぞれ-1.4〜-0.2kgと-1.6〜-0.5kgです。どちらの運動群も体脂肪量が減る方向で、研究に関係する有害事象、つまり好ましくない健康上の出来事の報告はありませんでした。主な評価項目を体脂肪量とした試験として、時間をまとめる方法にも成果があったと読めます。

この結果を週末の予定に重ねる際は、回数より先に合計時間の条件を見ると筋道が通ります。Siu(2026)で近い結果になったのは、運動量をそろえたうえで日程を変えた場合です。短い練習に参加することと、研究の運動をまとめて行うことは、同じ「少ない頻度」でも内容が異なります。体脂肪を目標にするなら、カレンダー上の印の数だけでなく、その日に何をどれほど行うかが比較の中心になります。

心肺体力の伸びが小さいときは、量の不足も考える

Montero(2017)は、健康な成人78人を、週1〜5回の持久運動を行う群に分けました。運動は各回60分で、頻度が高い群ほど週の合計量も増える設計です。調べたのは、心肺体力が伸びたか、研究の判定基準で伸びを捉えられなかったかという違いでした。後者は研究で「非反応者」と呼ばれますが、その呼び名は観察した条件と測定結果に対するものです。

Montero(2017)で非反応者と判定された割合は、週1回群で69%、週2回群で40%、週3回群で29%、週4回群と週5回群ではともに0%でした。回数の少ない群で、心肺体力の伸びが捉えられない人が多い結果です。各回の長さが同じなので、この並びには頻度と総量の両方の違いが含まれます。頻度だけを変えたSiu(2026)の比較とは、ここが異なります。

さらにMontero(2017)では、当初伸びなかった人の運動量を増やすと、その人たちにも伸びが見られました。これは、最初の測定で変化が小さくても、「運動しても変わらない体質」と決めつける必要はないという読み方につながります。研究の結論も、量を増やすことで心肺体力の非反応が解消された、というものです。変化の小ささを本人の意欲の問題にするより、行った運動量と目標の関係を見るほうが、結果に沿っています。

週末の練習で息が上がることと、心肺体力の測定値が伸びることも分けて考えます。Montero(2017)が示した個人差は、同じように運動に取り組んでも、体力の変化が一様ではないという点にあります。練習直後の疲労感だけを成果の目安にせず、続けている運動が目標に対して十分な量かを考えることが大切です。回数の少なさを理由に諦めるのでも、続けさえすれば同じ伸びが出ると考えるのでもなく、量を見直せる計画にしておくことが研究に沿った対応です。

筋力では、頻度より週の総量が結果を左右する

Grgic(2018)は、筋力トレーニングの頻度と筋力の伸びを調べた研究を、メタ分析でまとめました。メタ分析は、複数の研究の結果を集めて計算し直す方法です。全体を見ると、頻度が高いほど筋力の伸びが大きい傾向がありました。ただし、同じ分析の中で週の総量をそろえた研究に絞ると、頻度の明確な影響は認められませんでした。

Grgic(2018)の効果量は、週1回で0.74、週2回で0.82、週3回で0.93、週4回以上で1.08でした。効果量とは、異なる研究の変化の大きさを比べるための尺度であり、筋力が増えた割合そのものではありません。総量をそろえた比較で差が消えたことから、頻度が多い群の利点には、より多くの運動を行った影響が大きいと考えられます。回数だけを独立した効き目として扱うより、どれほどの負荷を積み重ねたかを読む結果です。

ここでいう総量は、筋力トレーニングの負荷や反復などに関わる量です。Grgic(2018)が主に扱った対象は筋力トレーニングの未経験者で、研究の質は大半が中程度でした。キックボクシングには、打つ動作を覚える時間、動き続ける時間、休む時間などが含まれます。そのため、通った時間をそのまま筋肉に負荷をかけた時間として数えるより、筋力を目標にした内容がどこに含まれるかを見ることが実用的です。

Rapkiewicz(2018)のムエタイで改善した筋持久力や脚のパワーも、筋力と関係しつつ別の評価です。力を繰り返し出すこと、素早く力を出すこと、最大の力を発揮することでは、測っている能力が異なります。Grgic(2018)の総量という視点を参考にしながら、練習で伸ばしたい能力の名前を具体的にすると、目的と内容のずれを見つけやすくなります。筋力を重視する場合は、回数を増やすこと自体より、筋肉への負荷をどう確保するかを考えるのが筋道です。

週末の予定は、目的と合計量を合わせて組む

週末に運動をまとめる生活には、長期的な健康との関連も報告されています。O’Donovan(2017)は、週にまとめて運動する人で、運動しない人より死亡の危険が低い関連を示しました。Dos Santos(2022)では、運動の総量を考慮すると、まとめる人と分ける人の死亡の危険に明確な差はありませんでした。どちらも生活を追って関連を見る観察研究で、持久力や筋力を測る試験とは役割が違います。

実際の予定を組む際は、Rapkiewicz(2018)の体力、Siu(2026)の体脂肪、Grgic(2018)の筋力を混ぜずに目標を選びます。体脂肪を減らすことを優先するなら、合計時間をそろえた試験が参考になります。息切れしにくさを求めるなら、Montero(2017)が示した反応の個人差と量の関係に目を向けます。研究の条件を予定に結びつける確認項目は、次のように整理できます。

  • 体力を目標にする場合は、Rapkiewicz(2018)が週2回と週3回の打撃系練習を比べたことを確認し、自分の頻度との違いを押さえます。
  • 時間をまとめたい場合は、Siu(2026)の合計75分が両群で同じだった点を確認し、日数だけでなく週の合計を見ます。
  • 持久力の変化が小さい場合は、Montero(2017)で量を増やすと伸びが見られた点を踏まえ、運動量を見直す余地を残します。
  • 筋力を目標にする場合は、Grgic(2018)で総量をそろえると頻度の差が消えた点を踏まえ、筋肉への負荷を伴う内容を確かめます。

Siu(2026)では研究に関係する有害事象は報告されませんでしたが、安全性の評価対象は、その試験の参加者と運動内容です。日程をまとめるために、疲労や痛みを押して強い運動を続ける方法とは分けて考えます。運動を長く行うことが負担になる人にとっては、合計量を増やす際に分散する選択肢も重要です。週末を運動の拠点として残し、目標に応じて量や内容を調整することが、続ける意味を具体的にする方法です。

よくある質問

回数が少ないなら、始めても意味がありませんか

少ない回数だけを理由に、意味がないとは考えなくてよいでしょう。Siu(2026)では、合計時間をそろえて運動をまとめた群も体脂肪量が減り、Grgic(2018)の筋力の分析でも総量が重要でした。まず目標を体脂肪、心肺体力、筋力に分け、週末に確保する運動の内容と量を合わせて考えることが出発点になります。

疲れるほど動けば、持久力がついたと考えてよいですか

疲労感と、心肺体力の測定値の改善は別に扱います。Montero(2017)は運動後の疲れの強さでなく、訓練に対する心肺体力の変化を調べ、同じ頻度の中にも反応の違いがありました。疲れを大きくすることを目標に置き換えず、運動量を調整しながら持久力の変化を評価する考え方が研究に合っています。

体重が変わらなければ、体力も伸びていませんか

体重や見た目だけで、体力の進歩を判断する必要はありません。Rapkiewicz(2018)では、体組成が変わらなくても、最大酸素摂取量や筋持久力、脚のパワーなどが改善しました。体脂肪の減少を目的にしたSiu(2026)とは評価項目が違うので、体形の変化と動く能力の変化を別々の成果として見るのが適切です。

この記事の限界

測定されたものは、心肺体力、筋力、体脂肪量、死亡と異なり、同じ「効果」として合算することはできません。打撃系の頻度比較はRapkiewicz(2018)の小規模なムエタイの試験であり、他の運動の結果も含め、週末だけのキックボクシングを長く続けた場合の伸びを一律に予測する根拠は限られています。また、Montero(2017)は健康な成人、Siu(2026)は過体重で中心性肥満のある成人を扱っており、持病や痛みがある人の練習量は、症状と治療内容を踏まえて医師に相談する必要があります。運動中の不調を単なる体力不足と判断するための記事ではなく、目的と運動量の関係を考えるための研究の整理です。

参考文献

  1. Rapkiewicz ほか. Effects of Muay Thai training frequency on body composition and physical fitness in healthy untrained women. The Journal of sports medicine and physical fitness. 2018;58(12):1808-1814.
  2. Siu ほか. Once and thrice weekly interval training in adults with central obesity: a randomized controlled trial. Nature communications. 2026;17(1):1410.
  3. Montero ほか. Refuting the myth of non-response to exercise training: ‘non-responders’ do respond to higher dose of training. The Journal of physiology. 2017;595(11):3377-3387.
  4. Grgic ほか. Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports medicine (Auckland, N.Z.). 2018;48(5):1207-1220.
  5. O’Donovan ほか. Association of “Weekend Warrior” and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality. JAMA internal medicine. 2017;177(3):335-342.
  6. Dos Santos ほか. Association of the “Weekend Warrior” and Other Leisure-time Physical Activity Patterns With All-Cause and Cause-Specific Mortality: A Nationwide Cohort Study. JAMA internal medicine. 2022;182(8):840-848.

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よくある質問

回数が少ないなら、始めても意味がありませんか

少ない回数だけを理由に、意味がないとは考えなくてよいでしょう。Siu(2026)では、合計時間をそろえて運動をまとめた群も体脂肪量が減り、Grgic(2018)の筋力の分析でも総量が重要でした。まず目標を体脂肪、心肺体力、筋力に分け、週末に確保する運動の内容と量を合わせて考えることが出発点になります。

疲れるほど動けば、持久力がついたと考えてよいですか

疲労感と、心肺体力の測定値の改善は別に扱います。Montero(2017)は運動後の疲れの強さでなく、訓練に対する心肺体力の変化を調べ、同じ頻度の中にも反応の違いがありました。疲れを大きくすることを目標に置き換えず、運動量を調整しながら持久力の変化を評価する考え方が研究に合っています。

体重が変わらなければ、体力も伸びていませんか

体重や見た目だけで、体力の進歩を判断する必要はありません。Rapkiewicz(2018)では、体組成が変わらなくても、最大酸素摂取量や筋持久力、脚のパワーなどが改善しました。体脂肪の減少を目的にしたSiu(2026)とは評価項目が違うので、体形の変化と動く能力の変化を別々の成果として見るのが適切です。